Hatena::Groupskyphoto

hikimayuの日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2009-12-13

世話人募集

世話人募集 - hikimayuの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 世話人募集 - hikimayuの日記

「世話人を探しとる。ひとりで飯喰うのは、寂しいじゃん。一緒に話しながら喰ってくれりゃそれで良いよ。」

男は、良く行くスナックのママのルリ子の紹介で、10年前に夫を事故で亡くして娘と二人暮らしをしていた澄江を紹介された。



澄江の娘は、もうすぐ40歳になるが「もう結婚しないよ。」と澄江と将来の話になると会話を遮るように答えていた。

なんで、こんな子になっちゃったんだろ。私が悪いのか?この10年間を、そんなに娘に依存して来てしまったのか?

口元が少し旦那に似てるその顔立ちと、人の話を聞こうとしない性格はそっくりでいつもイライラさせられていた。

自分の性格が、2人をそうさせるのか?

知らず知らずのうちに雲を見上げていた。


ルリ子とは、幼なじみで不思議と二人はいつもそばにいた。

性格は全く正反対で、高校時代の澄江はバレー部キャプテンで、ほとんどに時間を過ごし

ルリ子のほうは一応放送部に所属していたが、授業が終わると大学生の彼がいつも校門までバイクで迎えに来ていた。

そんなルリ子と親しくなったのは、中学2年の夏休みからだった。

2人が通っていた中学は、市内でも有数の進学校に進むレベルの高い学校だった。

成績の良かった二人は、当たり前のように進学校を目指していた。

家も近所で、ルリ子の「宿題、一緒にやらない?」の一言から高校を卒業するまで、テスト期間のたびに澄江の部屋ですごした

...............

.................

..................

2009-12-05

霧の深い日だった。

霧の深い日だった。 - hikimayuの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 霧の深い日だった。 - hikimayuの日記

汽笛がきこえる

アパートは線路の近くにがあったんだ。

職場も、南の方だし、最近は電車にもしばらく乗っていなかった。

ぎりぎりまでビルが建ち並び、道路からは線路が見えず、

あること自体も忘れかけていた。

汽笛は、まるで銀河鉄道を思い起こさせた。

薄暗くなって来ているのか、明るくなって来たのかよくわからなかった

6時10分を少しすぎていた。

2009-12-02

18:11 | 2009-12-02 - hikimayuの日記 を含むブックマーク

富士山のある方角が北なんです。

みんな知ってるんじゃないですか?

分かりやすいですよ。迷ったら富士山が北だから、こっちが南でみたいな。

おかしくないですよー?

そんな小さな山じゃないですから、日本一ですから。

だいたい日本中から見えるんじゃないんですか?

たしかに、遠くの県からだと小さくしか見えないかもしれませんが

だいたい、どこからでも見えると思いますよ。

このまえ台湾に行った時も、飛行機の窓からよく見えましたよ。

雲の上に富士山だけしか頭を出してなくて、他の山は何も見えませんでしたよ。

やっぱり、日本一高いんですね。

どっから見ても、見えるはずですよ

見えない時は、雲がじゃましてる時じゃないですか?

今日みたいに、くっきり見える事はないですよ。

住んでてても、こうくっきり見えるのはそんなにないですよー

なんか、神々しいというんでしたっけ?

うちのおばあちゃんは、神社に行ったとき見たいにパンパンってやってますよ

こういう富士山の時は。

けっこう雪がありますよね。もう登れないのかなー?

登った事?もちろん無いですよー!

登るもんじゃないって言いません?友達にも登った人一人もいませんよー。

富士は遠くで眺めるものって、言いますよね。

なにか、おかしいですか?

どんな事が起こってしまうのか?全然見当がつかない

18:10 | どんな事が起こってしまうのか?全然見当がつかない  - hikimayuの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - どんな事が起こってしまうのか?全然見当がつかない  - hikimayuの日記

だいたい何が起こってしまっても

起こっちゃったんだからしかたないしね。

この前もほら、もう絶対やらないからって言ってたでしょ?あのひと。

絶対なんて言わなきゃ良いのにね。

言わなきゃ嘘つきなんて言われないもん。

いっつも嘘ばっか。あんたは嘘しか言わないねって。

もう終わりでしょ

嘘つきなんて言われてみな?

もう何も言えなくなっちゃう。

何言っても、言い訳してるみたいじゃン。何言っても。



言っちゃ駄目なんだよ。嘘つきなんて。



あんたは、真実しか言わない。

これだったら面白いねー!

あなたは真実しか言わない。いつも本当の事しか言わない。

でも、だんだん何言っても疑うことが怖くておかしいなー?

何か、相手を信用してないかもしれないって思えて来るね。

やっぱり話出来なくなっちゃうねー駄目じゃんねー。

話なんだっけ?何やったんだって?

あの人。

笑わない人

18:09 | 笑わない人  - hikimayuの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 笑わない人  - hikimayuの日記

彼の笑顔は、もう何ヶ月も見ていない

面白い事が無い訳でもないのだろうが

そんな時にも、笑顔になっていない

目線は少し遠くにある

何日か前に久しぶりに飲みに行ったとき

「いつまで生きよう、どこらへんが節目か?なんて考えていた事もある」

なんて事を言っていた。

「毎日が苦しくなる。誰かが、後押ししてくれるか?背中を押してくれるのではないかと思ったりしている」

とか。

私は黙って返答はしなかった

最近また考えているのか分からないが

声をかけても返答はあるのだが

目線は合わせずに、でも言葉はスムーズに出てくる。



誕生日プレゼントに

シャトーラギオールというソムリエナイフをプレゼントを貰ったといって喜んでいた。

そのせいか、毎日ワインを飲むっていっていた。

楽しそうにスムーズな会話をしてはいるのだが

目線は少し遠くにある感じで、口元だけが微かに動いていただけだった。

わたしが30までに結婚してなかったら結婚してくれる

18:09 | わたしが30までに結婚してなかったら結婚してくれる  - hikimayuの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - わたしが30までに結婚してなかったら結婚してくれる  - hikimayuの日記

「わたしが30までに結婚してなかったら結婚してくれる?よろしくね。」


彼女と付き合いたいと思った事は、不思議と一度もなかった筈なのに

本当は彼女の事が好きなんだろう?

って、友達から良く言われた。

私の中でも自分に問いかける事が何度もあった。

何なんだろう?この昔から知っているような感覚は?

ずっと一緒にいたいの?付き合ってみたいのか?

いろいろシミュレーションしてみるが、どれもしっくりするものは無かった。

だいたい付き合っているという定義は、当時の私には難解だった。


ただ、見守っていたいだけだった。

一緒に生きていたい人という言葉が一番近いのかもしれない。


お互い、近しい時も付き合っている相手もいたし、

離れてからも、たまに電話で話すときに交際相手の話もしていたが、お互いの仕事の話をする事のほうが多かった。

恋愛相手のように求め合う感じとは違うものだったが、なんとなく存在を確認し合う感じだろうか。


彼女が自信をなくしたり、過労で倒れたりした時も気にはかけていても

電話で励ますぐらいで、仕事を休んでまでして駆けつける事も無かった。

何とか上手く生きていけるのだろうから私の出番は来ないだろうと思っていた。

彼女の仕事が軌道に乗って来た事は、雑誌を見れば確認できた。

やはり、大丈夫だった。本人よりも私の方がその才能に確信を持っていた。


そんな彼女と電話で話していて、共通の友人の事で喧嘩になった。彼女の方が正しかった。

その日以来、連絡は途絶えた。

いつでも連絡が取れる気がしていたので私も連絡するのもやめた。

彼女の結婚式が、ファッション雑誌の特集になっていた。

あれから20年近くが過ぎていた。



ある事がきっかけで連絡が取れ、元気そうな返事が帰って来た。

やはり、大丈夫だった。でも、会う約束はしなかった。

生きているということが確認出来ればそれだけで良かった。

ただそれだけで不思議と、私のどこかが満たされ、安心できた。





「わたしが30までに結婚してなかったら結婚してくれる?よろしくね。」 

「ん、わかった。」

信号が、赤から青に変わった瞬間、突然耳の奥の自分の声で呼び戻された。

それは、しばらく私の体の機能を奪い呼吸までも停止していた。

信号が点滅するころ体は解放されたが、一歩を踏み出す事が出来ずに赤く点灯する信号を見つめていた。

アカセン

18:08 | アカセン  - hikimayuの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - アカセン  - hikimayuの日記

アカセンって言ってな、女の子がいっぱいおった所があったんだよ。

丁度、今の橋の手前ぐらいにな。あの橋は昔からあったよ。

まだミツのとこに来たのも、あいつが小学校出るか出ないかぐらいだったから子供みたいなもんっだったから。

おれは二十歳時分だなー。盛りだもんだ、よく追っかけまあしとったで、ミツもおそがいって言って逃げちゃーおったよ。

しょうがないもんで、アカセンによく行っとったよ。

ブロマイドって言ってな、みんな気に入った女の子の写真をが売っとって、持っとったんだよ。

みんな、その店で買って持っとったんだよ。懐に入れて、畑やりながら休みに見ちゃーおった。

今みたいに、テレビとかが無いもんだなー、そりゃーみーんなもっとたぞ。

仕事終わったら、自転車でな慌てて行ったもんだ。

早く行かにゃ。取られちゃうもんな。

そうだなー、ミツが15、6の娘になった時に見つかって妬き持ちやきゃがって、ブロマイド取られたよ。

ほかったと思うよ。

でも、おれも娘になったミツが良くなっちゃってな。

それからアカセンも行かんくなったなー。

行くと、ミツが怒りゃーがるから、行けなくなったよ。

レタスしか食べない虫

18:07 | レタスしか食べない虫  - hikimayuの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - レタスしか食べない虫  - hikimayuの日記

名古屋から温熱療法をやり終え、病室に戻ったのは、ちょうど昼食前だった。

熱に弱い癌細胞電子レンジのような物で小さくしていくような治療らしい。

実際効いているのかはわからないが、治療後はかなり気分がよくなるらしいので、続けている。

病院の治療だけでは安心できず、良いと言われる事をすべて試していた。

ほかにもレタスしか食べない米粒ほどの虫を食べるという話を聞いて、

洋服ダンスを虫の飼育用につくり、そのレタスしか食べない虫を薬用のカプセルに生きたまま入るだけ入れて、3カプセルほど食事の後に飲んでいたりもした。

琵琶の葉が良いと聞けば、庭先になっているうちを見つけては事情を話してもらって来て、

それを煎じて飲んだりした。

とにかく良いといわれる民間療法はすべて試していた。そしてすべてを続けていた。

それらのは、女の精神力に動かされるもので、西洋医学に絶望感を感じていた主治医さえも希望的になっているように見えた。

体自体は全身に末期症状が出ている。

しかし、本人から感じる状態はまわりも希望を持ってしまうほどだった。

主治医からは、いまだ余命は宣告されていなかった。

洗髪

18:07 | 洗髪  - hikimayuの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 洗髪  - hikimayuの日記

「「帽子を買って来てもらったのよ。」

珍しくニットキャップを被っていた。

「似合ってるよ。いいじゃん。」


病院に面会に行くたびに髪を洗う事にしている。

この前は、少し襟足も短くした。

この病院の洗髪室には、リクライニング出来る椅子が用意してあった。

シャンプーボウルは美容用だが、椅子は理容用。微妙に合わないために、かなり使いづらい。

納めた業者ならわかっている筈なのに、いい加減な事をするものだ。

ニットキャップを取ると、最近始めた抗がん剤副作用が出ていた。

仰向けに寝かせて頭を梳かすと、何の抵抗も無く指に絡んで髪が抜けた。

お湯で濡らすだけで、シャンプーボウルの中を髪は流れ、抜けつづけた。

シャンプーをつけて泡立てると泡に髪は混ざりつづけ、泡を流せば、その流れる泡に混ざり髪は抜けつづけた。

もう力を入れて髪を触る事が出来なかった。いつの間にか会話もしていなかった。


タオルで水分を取る時も、ドライヤーで髪を乾かす時も

何も抵抗をする事も無く髪は抜けつづけ床に静かに落ちた。

彼女は、その床を見ようとしなかった。

「ありがとう、気持ちよかった。」

手を差し出したが、気づいてないかのように真っすぐ遠くを見つめながら、わたしの前を歩いて部屋に向かった。

縁側

17:59 | 縁側 - hikimayuの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 縁側 - hikimayuの日記

「縁側でね、いつも目つむって空を見とったの。

お父ちゃんと話したり、お母ちゃんと話したり、

ずっとずっと空見とると二人と一緒にいるみたいでね。おもしろかったなー。

でもね、夕方はねー目つむっても何にも見えてこんよ。

ずっとずっとつむってても何にも見えへん。何でだろ。

お母ちゃんに会いたかったから、あっちに行くのおそがくないよ。

楽しみだなーお母ちゃん分かるかなー。

あたしのほうがお母ちゃんのお母ちゃんみたいに見えちゃうね。

お母ちゃん私のちっちゃい時しか知らんから心配だなー。わからんかったらどうしよー。

お父ちゃんなんてもっとわからんだろね。

でも、私が分かるから心配いらんよね。

毎日、毎日見とったからからすぐ分かるよ。

楽しみだなー。ほんと、会いたかったの。」

男と女

17:57 | 男と女 - hikimayuの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 男と女 - hikimayuの日記

男は殴り。

女は耐えた。

子供たちは布団の中で震えて待った。

そして、罵声と共に車が激しく出てゆく音がする。



男は怒りをでアクセルを踏み込んだ

車は大きく振られ、ガードレールに甲高い音を立てながら道路中央まで弾かれた。

男はアクセルを突き抜かんばかりに踏みこんだ。エンジンは呼び起こされたかのように唸りをあげて加速した.

17:56 | 空 - hikimayuの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 空 - hikimayuの日記

雲の昇る、澄んだ青い空だった



棺桶は、ただの入れ物なんだと知った。

霊柩車を待つ間、線香の煙りがゆっくりとうねるのを見ていた。

肉体からはなれて

17:54 | 肉体からはなれて  - hikimayuの日記 を含むブックマーク はてなブックマーク - 肉体からはなれて  - hikimayuの日記

血液の混じった黒い粘膜が変色した唇から吐き出た。

前ぶれも無く、痙攣する体から魂が脱皮した。


そして、痙攣する体は停止した。



看護士は、喉の奥深くにバキューム用チューブを差し込み、その黒い液を吸い出す作業を続けている




「息が止まった。息が止まった。」

自分でその言葉を確かめるかのように男は繰り返した。

そして、言葉を忘れたかのようにじっと女を見つめていた。



「おい!、おい!」

側に居た男が、背中を摩りながら呼び戻そうとする。

「おい!、おい!」

その声だけが唯一病室に響いていた

彼にはフラッシュバックのように40年以上前の光景が呼び戻されていた。

もうすぐ50歳になる彼は、中学1年のあの夏の日を思い出していた。

ベニア板の上に寝かされた黒紫に変色した父親の背中を摩っている少年にもどっていた。

その父親も、彼が何度も呼びかけても、いくら涙を流しても

けっして、息を吹き返す事はなかった。

今も、無言で背中を摩っていたが、また女の側で立ちすくんだ。




子供達4人は言葉にも成らない言葉を声も出さずに繰り返していた。